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【世界で活躍するインド人の偉人シリーズ④(最終回)】シャンタヌ・ナラヤン(Shantanu Narayen)

関口友則    2023-04-20



 育った環境

1962年インド・ハイデラバードで誕生。

父はプラスチック会社を経営、母はアメリカ文学の大学教授。教育熱心な家庭で、ハイデラバード公立高校では学業に打ち込みつつ、
ディベートの課外活動、校内雑誌の編集に携わり、当時はジャーナリストになりたかったそうですが、父も兄もエンジニアだったので、
その後に続いて欲しいという期待を背負いました。
インド・オスマニア大学へ進学し、更に情報科学や電子工学について勉強したいと考え、米国留学を決意しました。
父も兄もアメリカ留学経験者であり、いまでこそインド国内のIT業界は発展しましたが、当時はコンピューターサイエンスを志すのであればシリコンバレーへというのが常識だったそうです。

渡米後

カリフォルニア大学、ボーリンググリーン州立大学を卒業しました。
「インドの大学では専攻の講義しか受講できないが、アメリカでは専攻外の講義にも参加することができ、幅広く学び考え方が広がりました。
一方で努力を惜しまない、長期的な目標をもつといった考え方はインド文化から学び、インドとアメリカの両方で学生生活を過ごせたのは、
とても良い経験になった」と発言されています。
卒業後はシリコンバレーでスタートアップ企業に就職した後、Apple,Silicon Graphics社で製品開発に従事し、写真共有サービスであるPictra/ピクトラを共同創業しました。
PictraAdobe社と業務提携を結んだことで、デジタルイメージングの領域に注力しているのを知って1998年にAdobe社に入社することを決めたそうです。

Adobe社での活躍

既に実績があったので1998年に製品リサーチ副社長として入社し主要製品の研究開発に従事、その後順調に昇進しました。

2005年に社長兼COO、そして2007年にCEOに就任

CEOとしてAdobe社を業界イノベーターへと変革させました。Adobe社の看板商品だったCreative Suiteの販売を中止し、

Creative Cloud・サブスクリプションモデルを導入、デジタルドキュメントのグローバルスタンダードを確立、
広告主がデジタル広告の閲覧履歴をチェックしたり、
効果を測定できたりするようにサポートするデジタルマーケティングというカテゴリーの創出も彼の功績です。2018年に初めて同社の市場価格が1000億ドルを超えました。


世界からの評価

Adobe社はシャンタヌ氏の経営手腕により下記のような多数の賞を受賞しています。

Barron's誌の「World's Best CEOs」やFortune誌の「World's Most Admired Companies」、

Fortune 100 Best Companies to Work For」「Businessperson of the Year

シャンタヌ氏自身も多くのメディアでの「Top CEO」として指名されています。

※Glassdoor社やComparably社の行ったTopCEOは各社社員の投票により決まります。

ジャーナリストの夢

「インド大学時代もテレビのコメンテーターを務めたり、夏休みは『The Indian Express』というインドの新聞会社で働きました。

Adobe社に入社してからも出版社のお手伝いをしていまでも出版業に携わっているといっていいでしょう。

Adobe社は出版業界にものすごく力を入れています。

例えば、雑誌や新聞を手に取ったとしても、モバイル端末で動画を見たとしても、それらすべてにAdobe社がかかわっています。

Adobe製品なしでは、今日の出版業界は考えられません。そう思うだけでとても大きな満足感が得られるのです。

私はジャーナリストにはなれませんでした。しかしジャーナリストに不可欠なツールをつくっています。

そういう意味でもAdobe社での仕事は最高の体験です。」と語っています。

シャンタヌ氏の経歴

1962年インド・ハイデラバードにて誕生

・ハイデラバード公立学校

・インド・オスマニア大学卒業

・カリフォルニア大学バークレー校MBA

・オハイオ州ボーリンググリーン州立大学修士

Apple社入社

1998Adobe社製品リサーチの副社長として入社

2005年社長兼COO

2007年(当時45歳)会長、社長兼CEO Adobe財団の理事長でもある)

2011年米国オバマ大統領から経営諮問委員会のメンバーに任命される

2017年更に取締役会長も兼任になりました。

5件の特許を保有するエンジニアでもある。

 

ハイデラバード公立高校Hyderabad Public SchoolMicrosoft社のサンダーCEO、マスターカード社のアジェイ前CEOも同校出身です。

インド教育の凄さが見えます。シリーズでこれまで紹介してきた全ての世界で活躍しているインド人は全員大学までインドで過ごし、

その後アメリカへ渡った経歴です。大人になってから渡米する日本人とスタートラインは同じですが、どうやってこの人数の成功を導く教育があるのか気になりますね。